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Bー13.ECRS(具体例)


 

『ECRS』の具体例について解説します


経営者、学生、主婦の3ケースをつくってみました。ここではECRSに基づいた改善案について解説していきます。

 


「生ハム」を加工販売している経営者A                   


原料肉が経費のなかで最も高い50%を占めています。そこで「原料肉の抑制」について考えてみます。

原料肉は長年付き合いのある業者より仕入れています。現在は購入毎に見積もりを入手し、交渉の上で購入しています。これを年間契約で購入できないか話を進めます。承諾を得ることができれば、これまで複数回行ってきた契約に至るまでの一連の作業が1回の作業で済むようになります。また原料肉の入荷についても、これまでは注文毎に納品してもらってきましたが、今後は2回/月の入荷に変更し、自社の冷蔵庫で在庫を保管することにします。これにより配送運賃を削減することができるようになります。


その他、調理の作業効率を上げることを目的に予め下処理済みの原料肉を仕入れることにしました。納入価格は若干上がりましたが、それでも自社で下処理するよりパフォーマンスが良いことが確認できたために変更しました。仕入れ業者においても他社から同じような依頼を受け対応していることから、新たに同社の原料肉を処理しても負担はありませんでした。むしろ原料肉を高く購入してもらえることから歓迎してもらえました(Win-Winの関係)。


廃棄の削減については、これまで生ハムの材料にならない端材は正規品に加工できませんでしたので捨ててきましたが、今後は端材を利用した新商品の惣菜用として活用することにしました。また最終製品で形が悪いものや重量が中途半端で正規品として販売できなかった商品は”訳あり品”として販売することにしました。”訳あり品”として販売しきれないものについても商品サンプルや試食用として要望される顧客に提供することで新規顧客獲得に向けたPRも始めることにしました。これにより原材料費の削減と同時に広告宣伝費の削減につなげることができました。


(ECRSの考え方に基づく改善案)



「卒業後の進路」を考えている大学生B                   


収入と支出がほぼ等しい生活を送っています。なかでも 交際費、通信費、教育費、衣料品費の見直しが必要な状況です。そこで「衣料品費の抑制」について考えてみます。なお衣料品は物になりますので、物の保管という観点でECRSを利用してみます。

大学生ゆえにファッションに興味があればそれだけ衣料品は増えます。しかしながら限られた保管スペース、収入において自由に購入していてはキリがありません。そこでまずは「整理」を始めます。「整理」とは要るものと要らないものに分けることになります。クローゼット内に空きスペースを作り、実際に使用したものは空きスペースに移すようにします。そのように管理することによって、使用しなかった衣料品は元の場所から動かず、実際に使用したものだけが空きスペースに溜まっていくようになります。この取り組みを1か月間続け、その間に全く使用しなかった衣料品は”要らないもの”と見做して廃棄するようにします。取り組み後に”要らないもの”がクローゼットにあったということは、1か月間に使用する衣料品はすでに所有している、つまり購入する必要がない衣料品をこれまで購入してきたことになります。ただし、ファッションは生活必需品としてだけではなく趣味として購入している場合もあります。ファッションが趣味である以上、全く購入しないということもストレスが溜まる要因になり得ます。従って「一増一減」(新たに一つ買う時は必ず一つ捨てる)を心掛けるようにします。一増一減を心掛けるようになると「買おうかな」と思った時に、欲しい衣料品(買おうとしている衣料品)と実際に所有している衣料品(捨てることになる衣料品)のどちらを選ぶか比較するようになりますので、これまでの「欲しいから買う」という散財を防ぐことができます。


(ECRSの考え方に基づく改善案)



「貯金」を考えている主婦C                        


収入のバランスがとれており現状は問題ありませんが、経費に占める割合が最も高い「食費の削減」を考えてみます。なお食費に関しては『B-12 ECRS』の家庭の例でも取り上げています。ここでは「安い食材を仕入れる」というテーマECRSを利用してみます。

”安い食材”を知るためには、チラシを確認することが有効な手段になります。主婦Cは自動車を保有していませんので移動手段は電車か自転車になります。まずは移動圏内のスーパーを対象に価格状況を調べるところから始めます。いくつかのスーパーのチラシを見比べて、どのスーパーが安いか調べることになりますが、近年はチラシアプリで最安値のスーパーが一目でわかりますので、そのアプリを活用することにします。


一般的な買いすぎないコツは「”献立”を決め、そこから”買うもの”を決めて」から買い物に行くことになりますが、「チラシで”安いもの”をチェックした上で”買うもの”を決め、そこから”献立”を組み立てる」ことにします。このような決め方をすると冷蔵庫内に残っている食材も余計に買ってしまうことにはなりますが、その時は”先入れ・先出し”の考え方で、まずは冷蔵庫内に残った食材を先に使い、今回新たに買った食材は在庫としてとっておくようにします。


実際にスーパーへ行くと様々な商品に目が向き、目的以外の商品を買ってしまう結果、支出が増えてしまうことがあります。近年はスーパーに行かなくてもネット通販で同じ商品を購入することができるようになりました。しかしながら、ネットスーパーではチラシ価格になっていない場合もあります。理由は、スーパーとしては安い商品で顧客を店舗に吸引し、”ついで買い”を狙っている訳ですから、実際に店舗に来てもらうことが何よりも大切になるからです。従ってスーパーの思惑があることを理解した上で、改めて”お買い得品しか買わない”という信念で店舗内での回遊距離をできるだけ少なくするようにします。


”安い食材”を購入するためにはスーパーに行く時間も重要になってきます。生鮮食品や総菜品、日配品は消費期限あるいは賞味期限が近づくと値引きシールが貼られます。生鮮食品や総菜は消費期限になりますので、その日の夕方から閉店間際にかけて価格が下がります。一方、日配品は賞味期限になりますので、その日の夕方から閉店間際にかけて価格が下がるとは限りません。日配品は閉店後から翌日の午前中に貼られるケースが多いです。と言うのも、スーパーが各業者に注文した商品類は開店前に店舗へ届けられます。スタッフは開店までに品出しを終えなければならず、作業に追われるあまり賞味期限が近い商品をチェックし値引きシールを貼るする余裕などありません。ゆえに賞味期限が近い商品のチェックと値引きシールを貼る作業は前日の閉店後に行ってしまうか、品出し作業が一段落ついた後、つまり開店から昼前にかけて行うことになります。従って昼前にスーパーへ行けば値引きシールが貼られた日配品を多く見つけることができるようになります。


買い物には1回あたりの予算を決めてから行くことにします。そして予算の90%以内で収まるように商品を選んでいきます。例えば、予算を3,000円とした場合は、買い物途中の概算で2,700円になるように商品を買います。「3,000円を超えるかな」と感じた際は、買おうとしている商品のどれか1~2品を棚に返せば10%程度は確実に削減できます。このような考え方で買い物をすると毎回300円削減できるようになります。1か月に4回、買い物に行くならば、単純に1、200円を貯金に回すことができるようになります。そして削減できたお釣りは、必ず財布から抜き取り貯金箱に入れることを習慣化させます。理由は財布にお金を残しておくと貯金額が見えなくなってしまうため継続性が損なわれる危険性があるからです。この取り組みを続けると、1年後には最低でも12,000円の貯金ができることになります。


その他、スーパーに行く頻度も少なくします。頻度が減れば減るほど、買い物の手間が少なくなる上、「次回は〇日に行く」と決めておけば、”〇日”になるまでは買い物ができない訳ですから、今回の買い物で買った商品を”〇日”まで残しておこうと消費が慎重になります。コンビニを思い浮かべていただければ納得いただけると思います。近場にコンビニがあると「いつでも買い物に行ける」との気の緩みから消費が増えてしまうことがあります。従って買い物に行く回数を減らすことは食材を大切にすることにつながり、結果的に食費を削減することができるようになります。


(ECRSの考え方に基づく改善案)




ECRSの解説は以上です。またネタが思いついたら追記します。
 
 


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