
『損益分岐点売上高』の具体例について解説します
経営者、学生、主婦の3ケースをつくってみました。ここでは変動費率、損益分岐点売上高、安全余裕率から確認できる現状について解説していきます。
「生ハム」を加工販売している経営者A
「変動費」は売上原価、「固定費」は必要経費が該当します。今期の売上高は1,920万円、変動費は742万円、固定費は422万円でしたので変動費率と損益分岐点売上高、安全余裕率は下記の通り計算できます。
・変動費率α
742万円/1,920万円≒0.387
・損益分岐点売上高
422万円/(1ー0.387)
≒688万円
・安全余裕率
(1,920-688)万円/1,920万円
≒0.642(64.2%)
上記の変動費率および損益分岐点売上高と実際の売上高との関係を図示すると下記のグラフになります。

(経営者Aの損益分岐図表)
変動費率0.387、損益分岐点売上高688万円、安全余裕率64.2%でした。
売上高に対する固定費の割合が低く安定しています。しかしながら経営者Aは個人事業主であるため、固定費に給与が含まれていません。仮に生活費を400万円とした場合、固定費は400万円増えることになりますので、上記の式に代入すると、損益分岐点売上高は1、341万円、安全余裕率は30%になります。安全余裕率は目安である20%を超えていますので安定していると言えます。
「卒業後の進路」を考えている大学生B
「変動費」は食費、「固定費」は生活費が該当します。今期の収入は108万円、変動費は29万円、固定費は162万円でしたので変動費率と損益分岐点売上高、安全余裕率は下記の通り計算できます。
・変動費率α
29万円/108万円≒0.269
・損益分岐点売上高
162万円/(1ー0.269)
≒221万円
・安全余裕率
(108-221)万円/108万円
≒ー1.05(ー105%)
上記の変動費率および損益分岐点売上高と実際の売上高との関係を図示すると下記のグラフになります。

(大学生Bの損益分岐図表)
なお上記は恒常収入と恒常支出を除外した数字、グラフになります。大学生Bは学生であるため生活資金は仕送りに頼らざるを得ません。また授業料も経費として発生していますが、それは生活費には含んでいません。従ってそれらを加味すると、今期の収入は252万円、変動費は29万円、固定費は222万円とも考えられますので、変動費率と損益分岐点売上高、安全余裕率は下記の通り計算できます。
・変動費率α
29万円/252万円≒0.115
・損益分岐点売上高
222万円/(1ー0.115)
≒251万円
・安全余裕率
(252-251)万円/252万円
≒0.004(0.4%)

(大学生Bの損益分岐図表)
変動費率0.12、損益分岐点売上高252万円、安全余裕率0.4%でした。
収入と支出がほぼ等しい生活をしています。バランスが取れているようにも見えますが、言い方を変えるとギリギリの生活になっていると言えます。突発的な費用支出があるかもしれません。現在は支出が1万円増えるだけで赤字に転落してしまう状況です。ゆとりを持った生活を送るためにも経費の見直しが必要です。
「貯金」を考えている主婦C
「変動費」は食費、「固定費」は生活費が該当します。今期の収入は302万円、変動費は88万円、固定費は171万円でしたので変動費率と損益分岐点売上高、安全余裕率は下記の通り計算できます。
・変動費率α
88万円/302万円≒0.291
・損益分岐点売上高
171万円/(1ー0.291)
≒241万円
・安全余裕率
(302-241)万円/302万円
≒0.201(20.1%)
上記の変動費率および損益分岐点売上高と実際の売上高との関係を図示すると下記のグラフになります。

(主婦Cの損益分岐図表)
変動費率0.291、損益分岐点売上高241万円、安全余裕率20.1%でした。
安全余裕率20%以上が確保できていますので収入と支出のバランスはとれていると言えます。
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