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Aー23.2✕2マトリクス


 

『2✕2マトリクス』について解説します


優先順位を決める際に活用されるフレームワークとして縦軸に重要度(緊急度)、横軸に緊急度(重要度)をテーマに整理した「時間管理マトリクス」があります。ここでは時間管理マトリクスに基づく優先順位の決め方について解説します。

 
(問題解決のフロー図)


1.2✕2マトリクス                       


「田の字」を描き、縦と横の各軸にテーマを設定し各テーマの関係性を2軸で整理した表です。代表的なフレームワークとして縦軸に重要度(緊急度)、横軸に緊急度(重要度)をテーマに整理した「時間管理マトリクス」があり優先順位を決める際に活用されます。このマトリクスにおける各象限の優先順位は第一象限>第二象限>第三象限>第四象限になります。重要度、緊急度の高い課題はすぐに着手します。一方で重要度は高いものの、緊急度が低い課題は将来のあるべき姿を達成するために、また重要度は低いものの、緊急度が高い課題は現在のあるべき姿を達成するために優先順位を上げて着手します。

(時間管理マトリクス)

2✕2マトリクスにおいて各軸は「高/低」や「有/無」あるいは「強/弱」など、お互いの表裏の関係を表す項目が入ります。ただしケースによっては2軸に入りきらないケースもあり、例えば「高/中/低」や「YES/NO/どちらでもない」の方が整理しやすいこともあります。

なお重要度、緊急度とも「高/低」の明確な判断根拠を示すことが難しいケースが多々ありますので数値化することをおすすめします。例えば重要度に関しては「高=1百万円以上の損得が発生する」、緊急度に関しては「高=3年以内」など「高」の基準を設定します。

しかしながらそのように設定し時間管理マトリクスのいずれかの象限に課題が振り分けられたとしても、今度は同じ象限のなかでさらに評価を行う必要がでてきます。例えば「3年以内に5百万円以上の損得が発生する」課題Aと「1年以内に2百万円以上の損得が発生する」課題Bはどちらを先に進めるべきか時間管理マトリクスからは判断できません。そこ重要度と緊急度を点数化することによって細分化し、さらにそれらを掛け算した数字が高いものを優先課題にすることが大切になります。上記の例であれば重要度は「3百万円以上=3点」「2百万円以上=2点」「1百万円以上=1点」とし、緊急度は「1年以内=3点」「2年以内=2点」「3年以内=1点」と点数付けします。掛け算の結果、課題Aは3点(重要度3点、緊急度1点)、課題Bは6点(重要度2点、緊急度3点)になりましたので、優先順位は課題B>課題Aとなります。

(点数付けによる優先順位の決定)


2.進め方                                


別の記事で記載した『カフェ』を例にとると、同社の課題は以下の通りでした。
ビジョンの実現に向けての課題
今回のケースにおいて重要度は「利益率+5%以上が高、それ以下が低」、緊急度は「期間3年以内が高、それ以下が低」と設定し、各課題を評価します。

まずは重要度に関してです。同社の売上高や総利益は提示していませんが、一般的に高級コーヒー豆のような高価格帯製品や新商品は利益率を高めることができますので実現により利益は+5%以上になることが期待でき、また一方でテイクアウトや缶、ペットボトルは販売単価が低いので+5%以上になることは期待できません。コーヒーについてよく知ってもらうこと、あるいは興味を持ってもらうことはファンを増やすことに貢献はしますが直接、利益率向上に関係しませんのでそれらが利益率+5%以上になることは期待できません。人手不足に関しては客数減少が起こっていないことから、仮に増員しても人員費以上に売上高(総利益)が増える可能性も高くなると予想されるため、最終利益も+5%以上になることが期待できます。

次に緊急度に関してです。不確実な環境下においては投資が少なく、かつ取り組みやすいところからスタートすることが定石になりますので、まずは高級コーヒー豆の販売や新商品の開発・販売からスタートしようと思います。それと同時に新たな顧客に「コーヒーファン」になってもらう啓蒙活動(知ってもらうこと、興味を持ってもらうこと)も地道に進めようと思います。これらは3年以内に芽が出るよう種蒔きをします。そして取り組みが軌道に乗り、増員にともなう人件費以上に売上高が増やせると判断した段階で人員増加を狙っていきたいと思います。缶やペットボトルは自社で取り組むことは難しくOEMになりますので時間を要します。従ってそれらは3年以降に実現できるよう準備をします。

以上の結果を図式化したものが下記になります。

(時間管理マトリクス )

優先順位は第一象限>第二象限>第三象限>第四象限になりますが、第一象限に2課題、第三象限に3課題ありますので、次にこれらの優先順位を決める必要があります。優先順位は点数化による評価を行います。点数に関しては下記の通り設定しました。
重要度(利益)
緊急度(期間)
まずは第一象限について考えます。重要度に関し、課題Aは新商品より利益率が高く10%以上が期待できるので5点、課題Bは新商品というプレミア価格で+5%以上が期待できるので3点としました。緊急度に関し、課題Aは新商品を出すよりも早く着手できますので、1年内の実現を目指し5点、一方で課題Bは容易ではないものの、中期計画には間に合わせる必要がありますので3点としました。従って課題Aは25点、課題Bは9点となり、優先順位は課題A>課題Bとなりました。

次に第三象限について考えます。重要度に関し、課題Cは5%まではいかないまでも3%程度の利益向上が期待できますので2点。課題Dと課題Eは直接売上高には関係ありませんので、それ以下の1点としました。緊急度に関し、課題Cはレイアウト変更(設備投資)が必要になりますので3年以内の実現を目指し3点。課題Dと課題Eはいずれもすぐに取り組みが開始できますので1年以内の5点にしました。従って課題Cは6点、課題Dは5点、課題Eは5点となり、課題C>課題D=課題Eとなりました。

以上をまとめると下記になります。
優先順位

さて上記のマトリクスにおいて、第二象限は将来のあるべき姿を達成するための課題、第三象限は現在のあるべき姿を達成するための課題が入るとの旨、解説しました。ゆえに課題は第一象限と第二象限のいずれにしか入らないことになります。しかしながら重要度を数値化するためには第三象限に入る可能性もあります。従って上記の解説は絶対ではなく、蓋然的なイメージ程度にとらえてください。


3.注意事項                               


上記はわかりやすく解説するためにすべての課題を同位として評価しました。

しかしながら別の記事で解説した通り抽出した課題が『目的と手段』の関係にあるために同位とはならず、上位・下位の課題が混在していることもあります。このような結果になる要因は問題から導いた課題とミッションから導いた課題が混在していることによります。各課題をロジカルツリーで整理すると下記になります。

(カフェにおける課題のロジカルツリー)


例えば「課題A:自宅用の高級コーヒー豆を販売すること」「課題B:缶やペットボトル用のコーヒーを販売すること」「課題C:テイクアウト用のコーヒーを販売すること」の3つの課題は同位になり、この3つの優先順位を2✕2マトリクスで評価することに問題はありません。しかしながら「課題G:コーヒーに興味を持ってもらう」と「課題A:自宅用の高級コーヒー豆を販売する」は上位・下位の関係になりますので本来は同じ基準で評価することはできません。このような関係においてすべてを同位として評価するとおかしな結果になることもあります。従って2✕2マトリクスで優先順位を決める際は同位で行うことをおすすめします。

なお次回の記事で改善・戦略の立案を行うため、ここで同社の優先順位を決めておきたいと思います。上記の例に関し「課題F:コーヒーをよく知ってもらう」「課題G:コーヒーに興味を持ってもらう」は上位グループになります。この2つの課題に対し、優先順位を決めてみます。別の記事で解説しましたが上記2つの課題はAIDMAを前提に抽出しました。「知る」と「興味」では「知る」ことからはじまりますので、上位グループの優先順位は課題F>課題Gとなります。
 
 


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