
『リスク低減策』について解説します
考えられ得るリスクには優先順位の高いものから順次対策を講じていきます。ここではその内容について解説します。
1.基本的な考え方
リスク低減策は「無くす(使わない)」「機械で対応する」「ヒトで対応する」の3つの軸で検討していきます。
【 食品安全 】
微生物リスクの基本対策は「つけない・増やさない・殺す」です。
そもそも微生物がいなければリスクは起こりません。仮に存在していても、機械とヒトで加熱殺菌や冷却処理を行い、菌数を減らす、あるいは増やさなければ微生物リスクは高まりません。
鉱物性異物も同様です。例えば床材について考えてみます。床材として金属片が練り込まれたコンクリート素材を採用する(普通のコンクリート素材は使わない)と床材が製品に混入しても金属検出機で除去することが可能になります。また床材が破損していないか定期的にチェックする、あるいは仮に破損していても、その付近を立ち入り禁止にすることによってそもそもの食品への混入リスクを低減させることが可能になります。
【 労働安全 】
基本対策は「本質的・工学的・管理的」です。
本質的とは作業を無くす、あるいは見直すことでリスクを除去すること、工学的とは機械・設備への防護板の設置などの対策を行うことでリスクを下げること、管理的とはルールや教育訓練により従業員が危険な行動を起こさないよう管理することです。
【 経営 】
風評被害や資金ショートなどは未然防止策を講じることでリスクを無くすことは可能ですが、景気動向や自然災害は自社の努力でリスクを無くすことは不可能です。従って”発生する”という前提で、発生した際に被害を最小限に食い止めるための対応策を講じます。例えば自然災害の発生によって「インフラ遮断」が発生します。被害を最小限に留めるためには、エネルギー供給の迅速な復旧になりますので、機械としては「自家発電所の設置」「重油・ガスボイラーの併用」が、またヒトとしては「緊急対応マニュアルの作成」「訓練」が必要になり、それらを事前に準備することがリスク低減策になります。
ヒトは不完全であり間違える生き物です。その一方で機械はプログラム次第でヒトでは絶対に不可能な効果を発揮してきます。その意味でヒトよりも機械の方が信頼性は高いと言えますが、機械はプログラム以外のことはできません。従って機械で対応できないところはヒトでカバーしていくことが必要であり、リスクを低減させるためには、機械とヒトの優位性をうまく活用していくことが重要になってきます。
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