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手元にお金を残す手段としては何が良い?


別の記事にて、収入から支出を減算した余剰を貯金と定義しました。損益計算書で示した当期純利益がその貯金に該当しますが、その貯金は税金を差し引いたものになります。尤も会計上の縛りがあり、必ずしも損益計算書のみの数字に税金がかかる訳ではありませんが、税金は税引き前当期純利益にかかってきますので、お金を残すためには税引き前当期純利益を減らすことも必要になります。ここでは税引き前当期純利益を減らすことで手元に残る現金預金がどのように変化するか確認してみます。


【在庫を減らした時】

前期と今期の収支が全く同じであったと仮定します。そのうち在庫を前年から100万円減らします。売上原価が100万円増えることになりますので、利益は100万円減ります。従って税金が35万円減る結果、当期純利益は前年より65万円悪化することになります。貸借対照表上では、在庫が100万円減る一方、現金預金が35万円増えます。


(在庫を減らした時に手元に残るお金)



【非資金損益項目を減らした時】

前期と今期の収支が全く同じであったと仮定します。そのうち使わなくなった機械(固定資産)100万円を売却します。売却により50万円の現金が増えますが、損益計算書上では資産減少に伴い特別損失として50円が減算されます。これにより利益も50万円減ります。従って税金が18万円減る結果、当期純利益は前年より33万円悪化することになります。貸借対照表上では、固定資産が100万円減る一方、現金預金が68万円増えます。


(非資金損益項目を減らした時に手元に残るお金)



【経費を減らした時】

前期と今期の収支が全く同じであったと仮定します。そのうち旅費交通費、広告宣伝費を100万円削減しました。100万円の経費削減により利益も100万円増えます。従って税金が35万円増えますが、当期純利益は前年より65万円改善することになります。貸借対照表上では、現金預金が65万円増えます。


(経費を減らした時に手元に残るお金)




上記は一例になりますが、手元にお金を残すためには「経費を減らすこと」「要らない物を売ること」「在庫を減らすこと」が少なからず大切であることをご理解いただけたのではないかと思います。一方、利益に関しては「経費を減らすこと」で黒字化できていますが、それ以外の「要らない物を売ること」「在庫を減らすこと」では、赤字になっています。


「要らない物を売ること」「在庫を減らすこと」に関し、今回の例では”100万円の資産を失うこと”、すなわち貸借対照表上の左側の資産(流動資産+固定資産)が減ることになります。貸借対照表では左側と右側のバランスが保たれるよう作成されますので、左側の資産が減った分、右側の資産(負債+純資産)が減ることになります。仮に「負債が一定」である時、貸借対照表のバランスを保つためには「純資産を減らすこと」になります。純資産を減らすこととは、すなわち「当期純利益を減らす」とも言い換えられます。従って資産が減少した場合、その影響は当期純利益に現れることになります。


ゆえに「経費削減」が現金預金と利益を残す効率的な対策であり、経営層はその削減を進めようとします。しかしながら、別の記事でも解説した通り、設備投資無くして経費削減はできません。経営とは何か?今一度、原点に戻って勉強していただきたいものです。

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