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Cー15.「食品安全」のリスク低減策(具体例)


 

『食品安全リスク低減策』について解説します


『Cー11.食品安全のリスク抽出・評価(具体提)』で抽出した食品安全に関するハザード/リスクに対しリスク低減の3対策に基づき対策を立案していきます。ここでは評価の結果、”リスク高”と判定したものについて解説します。

 

1.優先順位:”高”のリスク低減策                     


今回の評価では「病原微生物(食中毒菌)」「アレルギー」「鉱物性異物」の3つが優先順位:”高”となりました。これらリスクに対し、リスク低減の3対策に基づいて対策を立案すると下記になります。

(食品安全リスクに対するリスク低減策)



【 病原微生物(食中毒菌) 】

食中毒菌は”農場での汚染””自社の店舗での汚染”の2パターンが考えられます。


まずは”農場での汚染”を如何にして防いでいくか考えてみます。コーヒー豆は海外の農場で栽培されています。農場自体が自然環境下にあること、また国によっては衛生環境が整っていないエリアもあることから、食中毒菌を無くすことは不可能です。


放射線や加熱することで食中毒菌を死滅させることは可能ですが、そのような処理をしたコーヒー豆は輸入できません。また品質劣化を鑑みると、機械で制御/排除することも難しいです。


従ってヒトからの汚染が起こらないように衛生管理を講じ、少しでもリスクを減らすこと、つまり「衛生管理を徹底するよう要請する」ことが対策となります。また「現地へ視察へ行く」「出荷毎にロット検査を行う」ことも併せて行い、農場を牽制すればさらにリスクを減らすことが可能になります。


農場由来の食中毒菌を100%除去することは難しいのですが、自社への納品後は焙煎時に高温処理しますので、仮に食中毒菌が付着していても加工の段階で排除することが可能になります。なお焙煎時に食中毒菌を確実に排除するためには、焙煎時の温度や処理時間の設定、また機械に異常をきたさないよう定期的メンテナンスすることが必須条件になります。問題は焙煎以降の加工段階でヒトの手や製造環境を介し食中毒菌がコーヒーに付着する危険性があることです。そのような汚染を防ぐためには「自社での衛生管理の徹底」が必要になります。


【 アレルギー 】

カフェでコーヒーを提供する限りミルク(乳)が使用されますので、アレルギーを完全に無くすことは不可能です。またフードを提供する際は特に注意が必要になります。難しいかもしれませんが「アレルギーフリーの食材を提供する」ことを意識したメニューの検討も必要になります。


アレルギー事故はコンタミによるケースが多く発生しています。従って「アレルギー別に食材を隔離して保管する」「アレルギー別に加工場を分ける」「器具をアレルギー毎に専用化する」ことが対策になります。これらは機械的な対策ではありませんが、ハード面での対応という意味で機械的な対策とさせてもらいます。


またアレルギー事故は人為的なミスによるものでも起こり得ます。「原材料の規格書をチェックし間違えないよう表示する」「加工の順番を間違えない(アレルゲン無⇨有)」「手袋やエプロンをアレルギーが異なる度毎に交換する」ことが必要になります。



【 鉱物性異物 】

コーヒーはミルで粉砕し、さらにフィルターで抽出していきますので、基本的に鉱物性異物が混入するリスクは無いと考えられます。しかしながら抽出以降で混入する可能性は否定できませんし、フードを提供するのであればリスクが無いとは言い切れません。従ってフードの原材料についてもコーヒー生豆と同様に製造元に対し牽制することでリスクを低減させる必要があります。またカフェ内の施設や機械器具に由来する鉱物性異物を発生させないためには「劣化に強いステンレスやホーロー製の内壁にする」ことで石や錆のリスクを無くすことができます。


カフェでの採用は難しいのですが、機械的な対策としては「X線検査装置や金属検出機で検査する」ことでリスク低減を図ることができるようになります。


自社で発生させやすい鉱物性異物は施設の床面、器具や機械の破損になります。なかでも包丁の刃こぼれや篩の網の欠損は、提供する商品に接するものになりますので、管理には注意が必要になります。従って「使用前と使用後の状態をチェックする」「定期的に交換する」などヒトの目で施設の状態や使用する機械器具の破損状況をチェックしていくことが対策になります。



 
 



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