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Aー3.PEST分析


 

『PEST分析』について解説します


PEST分析は自社(自分)を取り巻く外部環境を政治/経済/社会/技術の4つの視点で調べ情報を整理するときに活用します。PEST分析によって勝負できる「領域」が見つけられるようになります。ここではその方法について解説します。

 
(問題解決のフロー図)


1.集める情報                              


政 治
・サプライチェーン、競合、代替品の法改正
      (規制緩和、規制強化 など)
・消費者心理、行動が変わる法改正
      (労働、賃金、税金 など)

経 済
・国の動向 (流行、業界ニュース、困りごと)
・地域の動向(開店、閉店、困りごと)

    

社会
・国の動向 (家計調査、話題のニュース)
・地域の動向(家計調査、地域のニュース)

技術
・新技術  (ロボット、AI、通信)
・新商品  (素材、味、容器包装)
・新ジャンル(品種改良、製造・販売方法)


上記に記載した「集める情報」はあくまでも目安になります。分析を進めるなかで、上記に記載していないものであっても重要と考えられる情報が出てくることがありますので適宜、自分なりの欲しい情報源をアップデートしておくことが大切になります。

また複数の項目に該当する情報が出てくることもあります。例えば「失業者数が増加傾向にある」という情報は「経済」の項目にも「社会」の項目にも該当します。どちらに分類すべきか迷うかもしれませんが、結論から言うとどちらに分類しても問題ありません。大切なことは正しい項目に分類することではなく、その情報がきちんと導き出せているという点にあります。従ってどこに分類すべきか迷ったときは、時間をかけず、インスピレーションで分類することをおすすめします。


2.進め方                                


まずは「テーマ」を決め、その上でテーマに関する「経路」を把握します。

例えば自社がカフェを経営しており、テーマを「コーヒー」と想定した場合を考えます。コーヒーに関する経路は、コーヒー豆を仕入れるところから始まり、消費者に提供することで終わります。この経路をまずは把握します。

次に経路の各段階を深く掘り下げて考えていきます。例えば「消費者に提供する」という段階においては消費者の動向が深く関与してきます。コーヒーを飲みたいと思った時、仮に近くにカフェがあった場合、消費者はそのカフェを利用するかもしれません。あるいは自動販売機やコンビニで缶コーヒーを買って欲求を満たすこともあります。人の目が気になる消費者であればインスタントコーヒーをスーパーで買って自宅でコーヒーを淹れることも考えられます。このように、各段階における企業や消費者の動向まで把握することによって自社(自分)を取り巻く外部環境がどのような関係性にあるか把握できるようになります。

(「コーヒー」をテーマにしたときの経路)


「経路」を把握した後は各経路における「情報入手」を行います。

上記で把握した経路の段階ごとに、それぞれ該当する政治/経済/社会/技術に関する情報を『1.集める情報』を参考に調べてまとめていきます。例えば上記の各経路の情報を簡潔にまとめると下記になります。

(各段階に関する情報)



上記は情報を整理した「事実」になりますが、キーワードを列挙した事実だけでは頭のなかは整理しきれません。そこで次に「まとめた情報を文章化」していきます。

例えば上記の運送・保管業界について文章を作成すると次のような内容になります。

自宅にいながらスマホやネットで買い物をする消費者が増加するに伴い、同業界の需要は高まりつつある。しかしながら一方で働き方改革が推進され就業者の長時間労働の問題が発生している。対応策として労働力を増やそうとしても人手不足で就業者が集まらない状況が続いている。またガソリン価格の高騰や走行距離税が導入される見通しであることも重なり同業界を取り巻く環境は一段と厳しさを増している。そのような環境への打開策としてドローンによる配送やロボットによる無人倉庫の開発が進められている。

文章化することで業界の現状が理解しやすくなったと思います。文章の作成にはセンスを要します。また「事実」から「意見」や「推論」を導かないことも大切になりますが、この「事実」から「意見」や「推論」を導かないことは難しく訓練が必要になってきます。そのためのテクニックとして『演繹法』や『帰納法』があります。これらについては別の記事で解説します。


3.外部環境分析力を高める方法                      


さぁ情報を集めようと思い立っても簡単に情報を集めることはできません。また完全な情報を入手することも不可能です。従って日常生活のなかで普段から意識して情報を集めていくことをおすすめします。下記にPEST分析に慣れ親しむための方法を記載します。


新聞を読み、気になるネタをメモ帳にピックアップしておく          

 

新聞は「政治面」「経済面」「地域面」「社会面」などで構成され、さらに最新情報が日々掲載されます。また記事(事実)とコラムや社説など(意見)に分かれていますので、仮説を立てるヒントにもなります。


業界団体の月報・記事を読む                        


業界団体には所属企業の情報が集まります。この情報をまとめて公表されたものが月報や記事になりますので、これらを読むことによって業界の傾向を掴むことができます。なお業界の知り合いに聞くという方法も情報収集する上では重要になりますが、それらは個人の意見である可能性も考えられますので注意が必要になります。


業界上位の決算資料を読む                         


上場企業は定期的に業績報告をしています。企業が公表する資料になりますので、そこにあるのは事実です。また『 業界団体の月報・記事を読む』と同じ内容になりますが、その企業の関係者から得た情報は個人の意見である可能性も考えられますので注意が必要になります。


統計局のデータを活用する                         

 

統計局には生データが揃っています。しかも自分が知りたい情報を加工することもできます。加工に時間はかかりますが、あらゆる生データにアクセスできるメリットは非常におおきいです。


新商品、バズリワードを意識する                      


企業のPRやSNSの検索ワードは意見的な要素が強いものになりますが、そこには事実も紛れています。上記にて「該当する業界や企業関係者から得た情報は個人の意見の可能性がある」と記載しました。しかしながら個人の意見であっても、アンケートのように複数意見が集まると何か新しいことを考える際のおおきなヒントになります。事実と意見をうまく使い分けることが必要になってきます。



次回は、具体的な事例について解説します。
 
 


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