
『リスク分析の再実施』について解説します
事故・トラブルの発生、あるいは検証で不備が見つかった際は、リスク分析を再実施することで抜けや漏れを無くします。再実施は単純に改めて実施することではなく、これまで行ってきたリスク分析をさらに深堀りするなど、当初実施した方法とは異なるアプローチで実施します。ここでは、再実施する際に有効な方法についてご紹介します。
1.現状分析の細分化
『Eー3.管理運営ルール(体制)を策定すること』 ”4.どこまで現状分析(標準化)するか?” にて、まずは工程レベルで分析する旨、記載しました。
その分析や対策で事故・トラブルが発生した、あるいは検証で不備が見つかったのであれば、工程から作業、動作にまで細分化してリスク分析を実施します。
このとき、まずは作業を”動作単位”にまで細分化したうえで、さらにその動作を行うことが予想される弱者の立場でリスク分析を実施していきます。その理由は、同じ動作であっても、体力や性別でリスクが異なるため、その動作を行う弱者の意見を聞き入れることで、潜在リスクが見つけやすくなるからです。これにより抜けや漏れを無くすことができるようになります。

(弱者の立場で”動作単位”で実施したリスク分析)
なお、リスク分析する前段階として、自社にどのようなリスクがあるかを纏めた「ハザード・リスク一覧」が必要になります。それらは行政のホームページや書籍をもとに調べていきますが、情報入手に時間がかかります。従って、経営、食品、労働安全に関するハザード・リスクを纏めた一覧表を別の記事に掲載しておきました。そちらも参照してください。
2.対策の優先度を増やす
リスク分析は、一般的に”発生頻度”と”重篤性”を積算した点数で評価します。
例えば、”発生頻度” ”重篤性”ともに各1~3点と設定した場合、評価点は、1点、2点、3点、4点、6点、9点の6通りになります。仮に、高リスク:9点、中リスク4~6点、低リスク:3点以下とした場合、対策はまず高リスク9点から取り組みます。しかしながら、事故・トラブルの発生を受け「6点までは対策を取る」とすればリスクを下げることができます。「中リスクまで対策を取る」とすればさらにリスクは下がります。
このようにリスク分析の結果を目安に、対策の優先度を増やすことで対策の抜けや漏れを無くすことができるようになります。

(リスク分析 評点)
3.第三者による巡視を受ける
同一人物がリスク分析を何度実施しても、”慣れ”によるリスクの見落としがどうしてもできてきます。従って「別部門からのクロスチェック」や「利害関係者以外の巡視(コンサル、専門家)」を受けることで、新たな視点が入り、リスクの抜けや漏れを無くすことができるようになります。
4.作業者に教育する
リスクに対する感度は、教育によって鍛えることができます。OJTであればKY活動の実施回数を増やすことが望まれます。また、社内で教育する限りは、新たな発見が得られない可能性もありますので、外部の専門教育(OFFJT)を受けることもお薦めします。
OJTとOFFJTのメリットは以下の通りです。

(OJTとOFFJTのメリット・デメリット)
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