
『上長の意識づけ』について解説します
リーダーは、人と人、人と組織、また組織と組織を有効的に結びつけ、コミュニケーションを円滑化することで組織の意思決定や業務推進を支える潤滑油の役割を担っています。その上長の意識が低ければ、お互いの理解は深まりません。ここでは上長の意識づけを図るためのヒントについてご紹介します。
1.上長の意識づけ
1.責任と権限を与える
組織設計には「責任・権限一致の原則」「命令一元化の原則」「統制範囲の原則」「専門家の原則」「例外の原則」の5つの原則があると言われています。中小企業は、経営者と従業員の距離が近く、また人数が少ないため、役割、責任と権限が曖昧になりやすく、たとえリーダーであっても”誰かがやってくれる” ”何とかなる”と甘えがちになります。従って、役割のほか、責任と権限を明確にすることによって”上長のリーダーとしての自覚”を促すことができるようになります。
【注意事項】
役割を明確にし、責任と権限を与える以外に、管下のメンバーを統制できる人数に制限します。仮に制限人数以上になるときは、サポート役を配置すると良いです。管理者の統制範囲は一般的に10名以下が推奨されますが、平気で40名のメンバーを抱えさせられることもあります。
インテリ上司に限って「私は管理できていた」と豪語しますが、ほんとうに不満や不都合なく管下のメンバーを管理できていたかどうかはわかりません。メンバーたちはリーダーを頼らず、仲間同士でルールを決め、それをしっかり守っていたから問題が顕在化しなかっただけかもしれません。部下の信頼を得るためには、メンバーの話を親身に聞き、現場を慮る必要があります。それにリーダーに配慮してもらっているとメンバーが感じれば自然とリーダーや会社に対する愛着も沸いてきます。
また指揮命令は、必ず直属の上長から与えられるものであることを再認識してください。
これも良くあるケースですが「掲示板を見るように」「○○から聞いた?」など、他人事のように平気で部下に話すリーダーもいますが、それはいただけません。同じことを部下がしたとき、リーダーとしてOKしますか?例えば、体調不良で休むとき、リーダーではなく、別の人に言っても良いですか?話をしたくないから、直接伝えず、メモに「休みます」と記載してリーダーの机に置いて、後から「机の上にメモを置いておいたので見ておいてください」と言って納得しますか?「部下にはするけど、自分がされるのは嫌だ」ということがないようにしてください。
2.研修を受けさせる
社外で研修を受けることによって、社内では気が付かなかった世間の常識を知ることができるようになります。また研修を受講させてもらったリーダーは”会社に期待されている”という想いも芽生えますので、会社の期待を裏切らないよう受講意識も高まります。
中小企業は人数が少なく、かつ明確な組織や業務が専門化していないために、自分より職制が高いも者の指示を受ければ、”あれもこれも”と対応してしまうケースがあります。しかもその行動が上役のご機嫌伺の行為になるため、”頑張っている風” ”仕事している風”な印象を上役に与えますので、結果として評価があがることもあります。
つまり、本来行うべきリーダーとしてのミッションよりも、上役の印象を良くすることが目的となってしまい、それが管理者の役割であると誤認しているリーダーがいないとも限りません。そのような誤認を是正すべく、社外の別の企業で働くリーダーを知ることで、本当の意味の管理者としての新たな気づきを得ることができるようになります。
【注意事項】
継続性を持たせる方法として、リーダー研修の受講を昇格条件にする、また必要教育の一環として新規管理者教育に組み込むことをお薦めします。
経営層が管理者にリーダー論に関する興味を持たせることも必要になります。経営層が管理者に推奨することで管理者が自己啓発で書籍や動画を閲覧するよう仕向けることができます。
時に人事評価が”頑張った風”や”仕事している風”で認められることがあります。その理由は、最終的に上役が人事評価を決裁しますので、その上役の印象に残っている従業員が評価されるからです。そのような評価で管理者になった者は同じような基準で部下を評価することになるでしょう。しかしながら、このような評価をしていては、人のモチベーションは高まりません。モチベーションを高めるためには、透明性、公平性がある適正な人事評価を実施することです。そのためにも管理者に対する評価者訓練を外部研修で受講させることをお薦めします。
3.会社が管理者をサポートする
一般的に「管理者は幹部と部下に挟まれて辛い」と言われることがあります。お互いの立場で誰もが権利ばかり主張するためにこのような流れになっていると考えられます。従って、会社は管理者をサポートする必要があります。
仮に目標が計画未達になった場合は、未達の理由を単に責めるのではなく、悩みを聞き達成するために必要な資源を提供することも必要です。
待遇面に改善すべき点があるかもしれません。ケースによっては管理職になると一般社員より時給換算の給与が低くなることも有り得ます。
従って、管理者の不平不満がなくなるようにサポートすることが必要になってきます。
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