
『報・連・相』について解説します
報・連・相は簡単なようで実は難しい。事故・トラブルは「報告の必要なしと判断した」結果、起こることも多々あります。だからと言って、何でも報告して良いわけでもありません。報・連・相に正解はありません。賛否あるとは思いますが、ここでは報・連・相の参考例についてご紹介します。
1.報・連・相
1.連絡網を作成する
「指揮命令系統の一元化」に基づくと、「社長 ⇔ 部長 ⇔ 課長 ⇔ 班長 ⇔ 作業者」の流れで情報をやりとりすることが大原則になります。しかしながら、上長が不在のケースや緊急事態発生時に、この流れを採用していると対応が遅れてしまう可能性もあります。従って、大原則とは別に「緊急連絡網」を作成しておくことで情報の抜けや漏れを無くすことができるようになります。
【注意事項】
報・連・相ルールが守られないことで組織が混乱するケースが多々あります。
これは本来あるべき姿(ルール)を経営幹部自らが破ってしまうことで発生します。いち早く情報を仕入れた方が勝ちというような傾向がこの問題を発生させています。
また、中小企業は経営幹部と従業員の距離が近く、お互いに気軽に話かけやすいために直接聞いて情報を仕入れることもあります。
本来はルール違反になりますので、質問された方が「直属の上長に聞いてください」と言うべきですが、人間関係が悪化することを考えると、そのようなことは言えるはずもありません。
だからと言って答えると、今度は職制上の上長が知らないところで情報が流れることになり、作業担当者と上長との関係が悪くなります。
このようなことが一度発生しただけなら修復も可能ですが、何度も続くようになると、ルール通り動いている上長のモチベーションは下がり、経営幹部自らがルール違反する姿に呆れ、「勝手にしてくれ」と言わんばかりに次第に報告しなくなります。
組織は責任と権限で成り立っています。経営幹部が管理者に任せ、責任を果たさせようとしなければ強いリーダーは育ちません。経営幹部は軽い気持ちで誰かに指示しているかもしれませんが、それが組織を有効に機能できなくしていることを自覚する必要があります。
2.報告、連絡事項を明確にする
なんでもかんでも報告・連絡することになると情報の抜けや漏れはなくなりますが、管理者は話を聞くだけで時間が無くなってしまいます。また部下が”何かあれば上司に連絡すればよい”と考えるようになると、自分では何も考えなくなる指示待ち従業員が増え、人材育成に支障がでる危険もあります。
だからと言って、全てを現場に任せてしまうと、本来は必要な報告・連絡であっても、報告・連絡しないまま、勝手に現場判断で処理される事態も起こり得ます。
従って、報告・連絡すべき事項を明確にしておく必要があります。
【注意事項】
優先的に報告・連絡すべき事項は、リスク分析と同じように発生頻度と重篤性によって評価し、リスクが高いものを採用するようにします。また報告・連絡には責任が伴います。「ここまでは○○の責任」と決めたうえで、相当の権限を与えるようにします。
3.フィードバックする
部下に報告・連絡するよう指示しながらも、自分はその行動をしない管理者もいますし、報告・連絡を受けるだけ受けておきながら、現場に対し何もリアクションしない管理者もいます(聞いて満足するタイプ)。
管理者は部下の手本になるべき存在です。
部下から報告・連絡を受けた以上、上司は部下にフィードバックする義務があります。仮に部下の要望通りに対応できないとしても、できないという事実を伝える、あるいは途中まで進んでいるならば、その進捗を報告することが必要になります。
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