
『チームのまとめ方』について解説します
人は、必ず誰かと何かしらの関りを持って生きています。従って、自分の思い通りに事が進まないケースが多々あります。自分の思い通りにならないからこそ、イライラが募り、人間関係の悪化を招くことが時として起こります。自分ひとりでできることには限界があります。自分ひとりでできないことは複数人に協力してもらい、各人に動いてもらう必要があります。ここでは人に動いてもらう上で必要なプロセスについて解説します。
人に動いてもらう上で必要な3ステップ
1.ルール(基準)の制定(記事2~記事4)
MECE、ブレインストーミング、ロジカルツリー(WHATツリー)
日常生活において、自分ひとりで何かを行う際は、自分で考え、その考えに基づいて行動して全く問題はありません。しかしながら、複数人が一緒になって何かを行う際は、自分の考え(ルール)だけで事を進めることはできません。そこで必要になってくるものがルール(基準)になります。
ルール(基準)の決め方も、別の記事で解説したプロセスと同じく、まずはテーマを定め、そのテーマ毎に考えられ得る全てのケースを洗い出すことからはじまります。
”そこまでする必要は無いよ”と思われるかもしれませんが、実はルール(基準)を定める際も、詳細まで深堀りしておく方が良いです。
例えば「トイレ掃除」をテーマに「毎日掃除をする」というルールを定めたとします。
仮にトイレの状態に関して、「今日は誰もトイレを使っていない」「掃除をしたばかりなのに、すでに汚れていた」というケースがあった場合、両者でトイレの清潔度は変わってきますが、きれいでも汚くても”1日に1回掃除をする”のであれば、定めたルールを守っていることになります。
また掃除方法に関して、「便器に洗剤を流す」「便器に洗剤を流しブラシでこすり、さらに便器の周りを布巾で拭く」というケースがあった場合、両者でトイレの清潔度は変わってきますが、どのような清掃方法であっても”掃除をする”のであれば、定めたルールを守っていることになります。
上記から「毎日掃除をする」という内容だけでは、複数人が同じ作業を行うためのルール(基準)にはなっていないと判断できます。
そもそも「トイレ掃除」の目的は、清潔度を保つことにあります。その目的が達成できるように考えられ得るケースを想定した上で、清潔度を保つための頻度や清掃方法、イレギュラー対応なども定めなければ、目的が達成できるルール(基準)にはなっていないということが上記の通り判断した理由になります。
従って、まずは誰もが理解と納得ができるルール(基準)を制定することから始めます。それらの洗い出しにはMECEやロジカルツリーを活用します。”考えられ得る”という視点では、ブレインストーミングで様々な意見を集約することで抜けや漏れが無くなるようになります。
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2.ルール(基準)の周知(記事5~記事6)
手順(書)、教育
せっかくルール(基準)を制定しても、その人の頭のなかにその情報が入っていなければ全く意味がありません。そこで次に、制定したルール(基準)を覚えてもらうための取り組みを行います。
その方法として、「手順(書)」の作成と「教育」の実施があります。
「手順(書)」や「教育」と聞くと、拒否反応を示す方もいらっしゃるかもしれません。
目的はルールを覚えてもらうことにありますので、ルールとして理解し、実施してもらえるのであれば、口頭で伝えてもらって問題ありませんが、後に「言った/言わない」のトラブルに発展するケースもありますので注意が必要になります。
例えば「何でこんなことをしたのか?」と怒られ、「いやっ、昨日そう言われましたから・・・」と反論しようものなら、「そんなことは言っていない!」と一蹴された経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
また、人から人に口頭で情報を伝える際、少しずつ内容が加工されて伝えられることがありますので注意が必要になります。
例えば、軽い腹痛があったので「今日、体調不良で休みます」と連絡した翌日、元気になって出社すると、人から驚かれた表情で「インフルエンザなのに仕事に出てきたの?大丈夫?」と言われた経験はないでしょうか。
伝言ゲームをイメージしてもらうと理解しやすいかもしれません。人から聞いた内容は一言一句覚えられて正確に伝えられるケースはほぼありません。最初の人に伝えた内容が巡り巡って自分の耳に入った時、全く違った内容になっていることがあります。理由は、多くの人が、相手にわかりやすく伝えようと聞いた内容(生の情報)を頭で整理し、自分が持っている知識や経験、情報と照合し、より詳しく伝えようと情報にアレンジを加えた内容(加工された情報)に変更したことによります。
さきほどの例では、Aさんから「今日、体調不良で休みます」との連絡を受けたBさんは先日、自分が風邪で休んだ経験があったので、体調不良=風邪と解釈し「Aさんは風邪で休みます」とCさんに伝え、その連絡を受けたCさんは風邪=熱がでると解釈し「Aさんは高熱のため休みます」とDさんに伝えました。Dさんはインフルエンザが大流行しているとのニュースを今朝、インターネットで見たばかりだったので、高熱=インフルエンザと解釈し「Aさんはインフルエンザで休みます」とリーダーに報告してしまいました。報告を受けたリーダーは朝礼で全スタッフに「Aさんは、インフルエンザで休みです。皆さんも注意するように」と伝えてしまったために、社内ではAさんがインフルエンザに罹っていると認知されてしまいました。そこに、しばらくの間、会社を休まなければならないはずのAさんが出社したものだから驚いてしまい「インフルエンザなのに仕事に出てきたの?大丈夫?」と本人に聞いてしまったというわけです。
従って、制定したルール(基準)は、「手順(書)」に残し、その内容を「教育」することを推奨します。
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3.ルール(基準)の実施(記事7)
ロジカルツリー
次に、制定したルール(基準)を実施していきます。ルールだから守って当然・・・と言いたいところですが、実施するかしないかは「その人次第」という点に注意が必要です。ルールを守ってくれる人もいれば、守ってくれない人もいます。
人には生まれ持った性格やこれまでの人生を歩んできた経験があります。特に年齢が高くなるにつれ自分の性格や考え方を変えることは難しくなりますので、人の行動を変えることは容易ではありません。
人の行動を変えるための特効薬はありません。理由は様々な要因が考えられ、各要因に対してピンポイントで対策を打つことができないからです。従って、ここではそれら要因と対策について考え、ルール(基準)が守られるような施策を参考までにご紹介します。
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4.フォローアップ(記事8~記事9)
検証、コーチング
人は忘れる生き物です。当初はきちんと実施していたルール(基準)であっても、習慣化していないと、悪意なく途中でやめてしまうケースもあります。
特に、年1回、あるいは”○○が発生した時”のような条件付きになると、実施頻度は著しく低下しますので、習慣化はさらに難しくなります。
習慣化しないとルール(基準)は、そのまま忘れ去られてしまいます。
従って、第三者がチェック(活動内容の検証)することが必要になります。
検証の結果、仮に「忙しくてうっかりしていた」という理由で実施されていなかったのであれば、まだ良いのですが、なかには「状況が変わって物理的にできなくなった」「決めた当初は対応できる人がいたが今はいなくなったのでできなくなった」など、検証を行うことで、ルール(基準)を制定した当初では思いもよらなかった新たな事情が見つかることもあります。その時は、ルール(基準)の見直しが必要になります。
また「めんどくさい」「やりたくない」「やっても意味がない」など、心理的な反発を理由に実施しないこともあります。これが先ほど、”人の行動を変えることはなかなか難しい”と記載した内容のところになります。
そのようなケースが発生した際、一般的には”指導”が必要になりますが「権力で従わせようとしない」という点に注意してください。
たまに「若手は怒られた経験が無いのでガツンと言えない」あるいは「あの人は自分が嫌われたくないものだから部下に口やかましく言わない」など、管理者を否定するような話を聞くこともありますが、経験上、この発言をする管理者が統制するチームほど、チーム内が”見せかけ”になっているケースが多くあります。
と言うのも、人にはそれぞれの個性、プライドがあります。注意されたい人などいません。ましてや大人になってから注意されるわけですから、反発するケースも出てきます。
それを我慢して従っている人は、「やらされた感」が強く、ルール(基準)を守っているように見せているだけに過ぎません。(管理者がいるときは「うるさいからやった風にしよう」「言われたことだけ適当にやろう」という状態になっています)
この状態に陥ると、お互いの信頼関係が無い「仮面ルール(基準)」になっていますので真の改善に繋がることはなく、また従業員の管理者に対する想いもありませんので、割り切って働くようになります。場合によっては事故や退職者が増えることもあります(愛社精神の喪失)。
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