
『課題の抽出』について解説します
課題の抽出で活用するフレームワークは『問題の把握』と同じです。よく「問題」と「課題」が混在されるケースを目にしますが、意味を知ることによってその混在を無くすことができるようになります。ここではその方法について解説します。

(問題解決のフロー図)
1.課題について
課題は「現在の姿」と「あるべき姿」とのギャップを埋めるための要素(改善・戦略)を意味します。別の記事で「あるべき姿は社会(消費者)ニーズに応える姿」と記載しました。仮に「現在の姿が社会(消費者)のニーズに応えている」のであれば現在の姿とあるべき姿とのギャップは発生しません(現状維持)。従ってあるべき姿を創造するということはニーズに応えられていないこと(問題発生)、つまりギャップが発生していることを認識していると言えます。問題とは「現在の姿とあるべき姿とのギャップを発生させている要因」になりますので、そのギャップを埋めるための要素である課題は問題の裏返しということになります。

(現状とあるべき姿の関係)
しかしながらあるべき姿に到達するためには問題から導かれた課題を解決するだけでは十分ではないこともあります。理由はあるべき姿から問題をとらえようとしたときは、現状分析で把握した問題の前後に見え隠れする別の問題も潜んでいることを見つけやすくなるからです。従って改めて『ブレインストーミング』や『ロジカルツリー』でパーツを創り、『内包と外延』『演繹法と帰納法』でパーツを組み合わせていくことでより詳細な問題を見つけることができるようになります。

(現状とあるべき姿から導かれる課題)
2.進め方
まずはSWOT分析で導いた問題を裏返します。別の記事で記載した『カフェ』を例にとると、同社の問題は下記の通りでした。
問題
課題は問題の裏返しであると記載しましたので、下記の通りになります。
課題
なお変動費を減少させることは顕在的な問題になりますが、ここではビジョンの実現に向けた課題との関係性が弱いことから除外して考えることにします。
さて同社のビジョンは「コーヒー愛好家を増やすこと」としました。現状はカフェの愛好家を対象に事業を展開していましたが、今後はコーヒーの愛好家を増やすことを目指していくことになります。コーヒーにはコンビニで販売されているようなテイクアウト、スーパーで販売されているインスタントや缶、ペットボトルもあります。従ってそのような商品をラインナップすることが課題と言えます。
また別の視点で考えてみます。一般的に広告を使った際の消費者の購買心理はAIDMAで表されます。これは「認知」「興味」「要求」「記憶」「行動」の略になります。コーヒーの愛好家を増やすためには、まずは存在を知ってもらい興味を持ってもらうこと。そして欲しいと思って実際に購買してもらうことが重要になります。そのスタートとしてまずは「認知」「興味」を如何にして掻き立てていくかを考えることが必要になります。従ってそれらの取り組みを進めることも課題と言えます。
上記をまとめると同社のビジョンを実現させるための課題は、問題から導かれたものとは別にビジョンから導かれたものが加わる結果、下記の通り表すことができます。
ビジョンの実現に向けての課題
なお繰り返しになりますが、課題を導く際もMECEやアイデアを増やすブレインストーミングが有効になります。そしてそれら関係をロジカルツリーで整理することにより精度の高い課題の抽出が可能になります。
3.ロジカルツリーによる課題の整理
同社のビジョンは「コーヒー愛好家を増やす」としました。上記の課題をロジカルツリーで整理すると下記の通り表すことができます。

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