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Aー18.MVV分析


 

『MVV分析』について解説します


MVVはミッション・ビジョン・バリューの略になります。このなかでビジョンがあるべき姿に該当します。ビジョンを定めることによって従業員や取引先、消費者、社会に対し創業(操業)の想いを伝えることができるようになります。ここではその方法について解説します。

 
(問題解決のフロー図)


1.MVVについて                            


ミッション(使命)
外部環境に対し「何をやらなければならないか」を考えます。


ビジョン(あるべき姿)
ミッションで定めた為すべきことを達成させるために内部環境が「どのような状態にならなければならないか」を考えます。


バリュー(価値)
ビジョンを実現させるため「どのように行動するか」を考えます。

自社(自分)の価値基準がひとりよがりの価値基準になってしまうと社会や消費者の価値基準からズレてしまう可能性もありますので自社(自分)の行動によって社会(消費者)にとって「どのようなことが実現できるようになるか(社会、消費者にとっての価値)」まで考え整合性をとることが必要になります。そのためミッションにおいては社会(消費者)の困りごとは何か?を考え、ビジョンやバリューにおいてはその困りごとに対して自分の強みがどう活かせるか?を考えた上で決めていくことになります。

(MVVのイメージ)


2.進め方                                


まずはミッションを決めます。SWOT分析で把握した外部環境の機会と脅威から社会(消費者)の困りごとや要望を推定し、その困りごとや要望に応えることがミッションになります。別の記事にて記載した『カフェ』の例で解説します。そこでは下記の外部環境分析の結果を導きました。
外部環境(機会)
外部環境(脅威)
コーヒーは嗜好品になります。安価な缶コーヒーから高価な家庭用コーヒー豆やカフェまで様々あります。昨今の傾向として節約志向でカフェの需要が減っている現状があります。つまりコーヒーは飲みたいけど、カフェでなくても良いと言えます。缶や自宅とカフェの違いは「空間」にあります。仮に「おいしいコーヒーを飲んでもらいたい」という理念を掲げるのであればカフェである理由は無くなります。従って空間を楽しんでもらうところまでイメージを膨らませて考える必要があります。例えばカフェでコーヒーを飲むことによってリフレッシュできるのであれば、そのことを掲げると良いです。またリフレッシュすることはストレスの発散に繋がり、ストレスを発散することはリラックスした状態で心安らかに生活を送ることに繋がります。従ってミッションは「ストレスのない生活の1シーンを演出すること」になります。

(ミッションを決める際のイメージ)

今回は事例紹介になりますので現状分析から理念やミッションを後付けしましたが、本来は理念やミッションを決めた上で経営を開始します。後付けになると説明に矛盾が生じることもあります。実際に今回、『カフェ』のミッションを「ストレスのない生活の1シーンを演出したい」と決めましたが、このミッションではカフェにこだわる必要はなくなってしまいます。仮にカフェにこだわるのであれば、ミッションは違うものにする必要がでてきます。例えば「人との出会いを増やしたい」ためにカフェを開いたかもしれませんし「コーヒーを広めたい」ためにまずはカフェという形態をとったのかもしれません。そのあたりはできるだけ矛盾が無いよう注意する必要があります(ゆえに、ここでもMECEやアイデアを増やすブレインストーミングが有効になります)。

次にビジョンを決めます。SWOT分析で把握した問題(外部環境の脅威と内部環境の弱み)をベースに、外部環境の機会と内部環境の強みを持って達成できるゴールがビジョンになります。簡潔に説明すると問題が発生している状況とは社会(消費者)のニーズに応えられていない状況を表しますので、そのニーズに応える姿がビジョンと言えます。問題のなかでも潜在的な問題は将来的な問題、つまり将来に対する不安の表れになります。その不安を解消すべく事前準備しておくことが重要になってきます。同社の潜在的な問題は下記の通りでした。
潜在的な問題点
巣ごもり消費を受け自宅用で楽しむ高級コーヒー豆の需要が高まっています。これはつまり「カフェ」から「自宅」、コーヒーを「提供される」から「自作する」ということを求める消費者がいるという新たなニーズが発生していることになります。その消費者の「ストレスのない生活の1シーン」を演出するためにはその要望に応えることが必要になります。

コーヒーは嗜好品になりますので、自宅で高級コーヒー豆を使用する消費者は強いこだわりを持っていると推測できます。強いこだわりを持つ消費者は向上心がありますので、そのこだわりはさらに強まっていくと考えられます。従って消費者の向上心に応えるためには新商品開発やコーヒーの淹れ方についての教室を開くことでその消費者の「ストレスのない生活の1シーン」を演出することができるようになるかもしれません。

ただしそれらを実現させようと考えた場合、人手不足に陥る危険性もでてきます。理由は従来のカフェ経営に商品開発や教室の開催など新たな負荷が増えることになるからです。ここからは希望的観測になりますが、こだわりが強い人のなかには趣味を職にする傾向もあります。従って向上心が高いコーヒー愛好家が増えると、仕事をしながら勉強できるという点で同社で働きたいと考える人も増えるかもしれません。

以上をまとめると「コーヒー愛好家」を取り込むことで自宅用の高級コーヒー豆の販売や新商品開発、新事業展開、人手不足の解消など現在の問題を解決する糸口が見えてくるようになります。従ってビジョンは「コーヒー愛好家を増やすこと」と決めることができます。

(ビジョンを決める際のイメージ)



最後にビジョンの実現に向け、どのように行動していくかを決めます。ここに関しては具体的なアクションプランが入ってくることになりますので、改善・戦略の記事で解説します。
 
 


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