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Aー12.論理的推論


 

『論理的推論』について解説します


問題解決に際しては、事実を積み重ねて真因を掴み、仮説を立てることで改善の方向性を導きます。論理的推論の手法である演繹法と帰納法を身につけることでそれらを効果的に機能させることができるようになります。ここではその方法について解説します。

 
(問題解決のフロー図)


1.演繹法                                


一般的かつ普遍的な事実、様々な事実・事例から結論を導き出すことです。(抽象⇨具体)

(演繹法のイメージ)

別の記事で記載した『カフェ』の外部環境の脅威は「コーヒー豆、エネルギーコストが増加している」「町の小さなカフェの倒産件数が増加している」でした。仮に「コーヒー豆のコストが増加している」を業界の普遍的事実と想定し、具体的な事実・事例として「町の小さなカフェは倒産が増えている」との関係を演繹法で考えてみます。「町の小さなカフェ」はコーヒー豆を利用していますので「コストが増加している」を導くことができます。しかしながら「倒産件数の増加」は必ずしもコーヒー豆のコスト増加によるものとは限りません。理由は店主の高齢化やほかに良い店ができた、節約志向でカフェに行く頻度が減ったなど様々な要因も考えられるからです。
従って結論は「カフェのコストが上がっている」までであり、必ずしもそのことが原因で倒産に至っているとは言い切れないと言うことになります。

(演繹法の具体例)

演繹法では具体的な事実・事例を点に分解し、前提となる一般的かつ普遍的な事実との関係を線で結びつけることができるか否かが重要になります。ここの解釈を混同し、結論を急ぐと誤った解釈に陥る可能性もあるため注意が必要です。


2.帰納法                                


様々な事実・事例から結論を導き出すことです。(具体⇨抽象)

(帰納法のイメージ)

別の記事で記載した「カフェ」の外部環境の機会は「コーヒーブームが到来している」「巣ごもり消費で自宅で淹れる高級コーヒー豆が売れている」でした。「コーヒーブーム」「高級コーヒー豆が売れる」から「コーヒー人気」がキーワードであると言えます。従って「価格の高いこだわりのコーヒー人気が高い」との仮説を導くことができます。

しかしながら事実・事例が少ないと誤った解釈に陥る可能性もあります。例えば上記の例のほかに外部環境の脅威である「コーヒー豆のコストが上がっている」「カフェの利用頻度が落ちている」という事実・事例が加わると「節約志向」という新たなキーワードが見つかります。従って「節約のために自宅でコーヒーを飲む機会が増えている」との仮説を導くことができます。

先の「価格の高いこだわりのコーヒー人気が高い」との仮説だけであれば、こだわりのコーヒーをメニューに追加することでカフェへの来店客数が増えることが期待できましたが「節約のために自宅でコーヒーを飲む機会が増えている」のであれば、メニューを追加しても来店客数が増えることは期待できなくなります。従って「(消費者は)コスパの良い、おいしいコーヒーが飲みたい」との仮説を導くことができます。

以上より結論としては「自宅用の高級コーヒー豆が売れる」と変更したほうが良いことになります。

(帰納法の具体例)

帰納法では様々な事実・事例から共通するキーワードを見つけ出し、そこから一般的かつ普遍的な事実(仮説)を導くことができるか否かが重要になります。解釈を混同し、結論を急ぐと誤った解釈に陥る可能性もあるため注意が必要になります。


3.うまく進めるためのポイント(演繹法と帰納法の関係)          


演繹法は一般かつ普遍的な事実(抽象)から個別の結論(具体)を導くことであり、帰納法は個別の事実・事例(具体)から一般かつ普遍的な結論(抽象)を導くことです。従って論理的に結論を導くと言うことは、導き出した様々な事実・事例から演繹法と帰納法を組み合わせながら結論を類推していると言うことになります。ゆえに別の記事で記載した「MECEやブレインストーミング、内部外部分析による情報収集などで多くの意見(事実・事例)を集めることが重要である」と解説した理由がご理解いただけたのではないかと思います。

(演繹法と帰納法の活用イメージ)

先のコーヒーの例では、帰納法で「自宅用の高級コーヒー豆が売れる」という結論を導きだしました。この事実を一般的かつ普遍的な事実であると想定し演繹法を行うと、例えば「自社はカフェを経営している」からは「ゆえに自社で自宅用の高級コーヒー豆は販売していない」との結論が、また例えば「コーヒー豆のコストが増加している」からは「ゆえにコストが高くても高級コーヒー豆は売れている」との結論が導けるかもしれません。

それら結論から問題は「自宅用の高級コーヒー豆を販売していないこと」「高級コーヒー豆のコストが高いこと」「新たな高級コーヒー豆がないこと」になります。従って課題はそれらが実現できるようにすることであると言い換えることができます。

(演繹法と帰納法を活用した具体例)



これらについては次回以降、詳しく解説していきます。
 
 


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