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Aー10.MECE


 

『MECE』ついて解説します


MECEは問題解決のどのステップにおいても重要になります。現状の把握や原因の追究、解決策の立案などを考えるときに導かれる結論は人によって異なりますので、漏れ(抜け)やダブりを無くし情報を完全に網羅することによって精度の高い結論に導くことができるようになります。ここではその方法について解説します。

 
(問題解決のフロー図)


1.意味                                 


情報を漏れ(抜け)やダブりなく完全に網羅することです。結論を導くときに検討段階で漏れ(抜け)やダブりがあると、本来検討すべき内容を見落としてしまう危険性がでてきます。そのような状況にならないよう何かについて検討する際は、常にMECEを意識しながら整理していくことが必要になります。

(1)漏れ(抜け)
検討する際に必要となる情報が入っていないことです。例えばカフェにおける「コーヒー豆」の経路を考えます。コーヒー豆は輸入していますが、仮に検討を国内入荷からスタートしてしまうと国外事情の検討が疎かになってしまいます。国外事情としては農場の天候・気候、カントリーリスク、為替などが考えられます。国外事情の影響を受けると同じ価格や同じ品質のコーヒー豆が適切なタイミングで入荷できなくなります。従って対応の遅れによって経営に甚大な被害が出てしまう危険性が高まります。そもそも問題として認識されることがないために外部環境の脅威や機会で見落とし、結果として急な品質低下や欠品、コストアップなどが発生するかもしれません。そのような弊害を防ぐためにも漏れ(抜け)が無い状態を心掛け整理することが必要になります。

(2)ダブり
同じ情報が重複してしまうことです。例えば「コーヒー」と言っても、業態としてカフェやコンビニ、自動販売機などがあり、また形態として缶、ペットボトル、インスタントなどが多種存在しています。さらに業態と形態の組み合わせを考えると何十種類ものパターンが存在することになります。パターンの数だけ人の意見は存在しますので、仮に漠然と「コーヒー」をテーマに検討をスタートさせてしまうと、各自のイメージ次第で話が嚙み合わなくなり、結果として脱線したり、結論に近づいた段階で「このようなケースも考えられる」との意見がでて議論が振り出しに戻ることが発生します。そのような弊害を防ぐためにもダブリがない状態に整理することが必要になります。なお重複がない状態に整理できないケースも多くあります。例えば「バナナはお菓子に入りますか」は、お菓子とも、お弁当のデザートとも考えられます。そのようなときは「決め事」として、予めどちらかに分類するようルール化しておくことをおすすめします。ちなみに先生ならば「バナナはお菓子に入りません」とはっきり言うかもしれません。


(2)具体例                               

 

日本をエリアで整理しようと考え、北海道、本州、四国、九州・沖縄の4つの「島」に分けたとします。このとき4つの島のいずれにも属さない島はありませんので、完全に整理できた状態になっていると言えます。また「年齢」で整理しようと考え、成年か未成年で分けたとします。このときもいずれかに属することになりますので完全に整理できた状態になっていると言えます。MECEとはこの完全に整理できた状態を指します。

しかしながら「職業」で整理しようと考え、学生と会社員、無職で分けてしまうと経営者はどこにも属さなくなり、また会社に勤めながら勉強する大学生もいますので大学生は会社員と学生のどちらにも属することになり完全に整理できた状態にはなっていないと言えます。従ってこのようにどこにも属さない漏れ(抜け)や、どちらにも属するダブりが発生している状態はMECEとは言いません。

(MECEのイメージ)


(3)MECEでない状態で物事を検討すると…               

 

MECEではない状態で物事を検討すると対策を講じたときにミスリードが発生する危険性が高まります。例えば先の「職業」で分類した上で「無職は生活が苦しいから10万円を給付する」という対策を講じたとします。先の職業分類であれば、不労所得者に給付される一方、年収が低い非正規雇用者には給付されません。また学生、赤ちゃんともに収入はなく親の扶養に入っていますが、学生は無職ではないので給付されない一方、赤ちゃんには給付されることになります。

「生活が苦しい人の救済として10万円を給付する」という対策自体は良いことですが、その前提として「無職=生活が苦しい」とし、また「無職=学生、会社員以外」としている点に問題があります。生活が苦しいのは、不労所得者よりも非正規社員ではないでしょうか?赤ちゃんよりも年齢が高い学生の方が何かと生活費がかかるのではないでしょうか?これはあくまでも一例にはなりますが、前提である定義(分類)を曖昧にしたまま対策を講じると、本来の目的からズレた結果を招く危険性がありますので、可能な限りMECEに近づけることが大切になります。


(4)MECEに近づくためのポイント                   


まずは選択肢が2~4つに絞れるおおきな組み合わせを考えます。
例えば「A以上、A以下で分けられるもの」や「パターンがA、B、C、Dしかないもの」からスタートします。しかしながら選択肢が2つ、4つのいずれかに必ず属するということはそこに属する要素は多数存在することになりますので、さらに細分化しなければ詳しい現状が見えないことになります。従って各要素についてさらに分けられる選択肢をどんどん考えていきます(具体⇔抽象)。なお詳細になればなるほど、次第に整理できる共通点は無くなっていきます。それでもさらに細分化をしていくと完璧に近づく一方で時間ばかり費やしてしまう可能性もでてきます。以前の記事でも記載しましたが、最終目的は「問題解決」になります。従ってMECEを目指しながらも時間を意識した上で最終のまとめに入っていくことをおすすめします。



 
 


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